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高森遺跡
上高森遺跡に関する問題について
このニュースは、息子の結婚式のグアム旅行中朝食で知りました。
          宮城県教育庁文化財保護課
 まず文化財の保護行政を担う立場としては、とてつもなく大きな衝撃を受けました。発掘調査の成果は、現地で得られた「事実関係」が正しいものであるとすべての人間が認め合うという一種の信頼関係にあることを前提として成り立っています。したがって、今回の件のように一部にしろ「事実関係」に嘘があると判明してしまうと、信頼関係がくずれ、発掘調査成果すべてが疑われかねない状況が生まれてしまいます。上高森遺跡の発掘成果は、学校教育でも教科書や副読本に搭載されておりますし、博物館の展示や解説書等に記載されているものもあります。また、築館町では発掘の成果を受けて高森・上高森遺跡の保存活用計画はもとより、「高森原人」「原人の町」をキャッチフレーズにして、商品開発や各種のイベントの企画等、町おこしの起爆剤として活用し始めていただけに社会的影響も大きいものがあると思われます。
 今後の対策としては、まずは、このたびの件が及ぼした影響の広さ、深さをふまえ、社会的責任の重さを十分に認識して発掘調査にあたるよう機会があることに関係者・関係機関にアピールしていきたいと考えています。
 次に、教育委員会では、この問題に緊急に対処するため、11月6日には「上高森遺跡に関する問題検討委員会」を設置しております。そのなかで、まず、東北旧石器文化研究所及び藤村新一氏がかかわった発掘調査における個々の遺構などについて、事実関係の確認をはじめ、文化庁など関係機関からの情報の収集、教科書や副読本の記載内容等の検討などを申し合わせ、関係各課ごとに継続して調査を行っております。特に、学校教育との関連では、教科書・副読本の上高森遺跡に関する記述の扱いに留意されるよう、各学校や各教育機関及び市町村等教委に11月8日付けで通知を出しております。
 関係した遺跡の検証につきましては、県内の藤村氏が関わった旧石器時代遺跡のうち発掘調査は17遺跡で、そのなかには宮城県教育委員会が調査を実施したものに馬場壇A遺跡(古川市)、大原B遺跡(色麻町)、中峯C遺跡(大和町)、高森遺跡(築館町)、の4遺跡でありました。これらについては、東北歴史博物館が当時の記録類を再整理し、また関係職員からの聞き取り等により事実関係を確認しております。そのほかについては、調査を実施した各組織がそれぞれ独自に作業を行うことが最も望ましいと思います。11月22日には東北旧石器文化研究所の理事長・鎌田俊昭、理事・梶原洋・横山裕平の3氏に対し、藤村氏本人からの聴き取りなどにより研究所がかかわった各遺跡における事実関係を確認し、さらに未刊となっている報告書の刊行計画などを、書面によって宮城県教育委員会に提出するよう要請しております。

 学会では、12月23日、24日の両日に「東北日本の旧石器文化を語る会」が福島県立博物館で開催されます。「石器を検証する」ことを主要なテーマとし、藤村氏が関与した石器や関与していない石器を含めて公開し、前期・中期旧石器時代の石器の検討が行われる予定です。
 また、日本考古学協会では、藤村氏の関わった遺跡の再検証を行うため、特別委員会を設置するとのことであり、本県としては、研究分野での今後の検討を見守っていきたいと考えています。そして、研究機関などによる検証のための発掘調査等を行う機会があり、主体者からの要請があれば、東北歴史博物館など県からの参加を検討することになると思います。